2007 Fiscal Year Annual Research Report
音楽の分野による習得方法の多様性を活かした学校音楽教育の学習指導方法の開発
Project/Area Number |
18530700
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
杉江 淑子 Shiga University, 教育学部, 教授 (30172828)
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Keywords | 学校音楽文化 / 耳コピ / 音楽学習プロセス / 日本伝統音楽 / 諸民族の音楽 / ポピュラー音楽 / 音楽科教材 / 質問紙調査 |
Research Abstract |
学校の音楽教育は,教育内容面では多様化したものの,学習方法は学校教育独自の単一的な方法で行われる傾向がある。しかし,学校外では,音楽は,種類に応じた多様な方法で習得されている。そこで,本研究では,第1に学校音楽教育への多様な音楽学習方法の導入と併存の可能性について,第2に指導者が音楽への複数のアプローチ方法を身に付けることの可能性にっいて,の2点を明らかにすることを目的に,基礎資料を収集し,実証的に研究を進めている。平成19年度は,平成18年度末に実施した全国の中学校音楽科教員3000名を対象に実施した郵送質問紙調査により回収された1002名からの回答(回収率33.5%)の分析を行い,調査報告書を作成した。分析から明らかとなった点と課題は下記のとおりである。 1.中学校音楽科の授業において,一定程度は多様な分野の音楽教材が導入されている。 2.日本の伝統音楽については,多くの中学校で鑑賞領域と併せて表現領域においても取扱われており,生徒の興味、関心は表現領域で取扱われたジャンルに対して強く現れる。 3.ただし,表現領域で扱われる日本の伝統音楽の学習は箏と和太鼓に集中する傾向があり,これらが「学校教育化された日本の伝統音楽」領域となる懸念が抱かれる。 4.日本の伝統音楽の学習指導においては,半数がその音楽(楽器)独自の楽譜を使用している一方,2割強は五線譜を用いており,口唱歌や聴唱、聴奏による方法はあまり用いられていない。 5。アジア等,日本以外の諸民族の音楽については,VTR,DVD,CD等の視聴覚教材を用いて鑑賞領域のみでの学習が行われているケースが殆どである。 6.教師自身に五線譜の枠組によらない音楽学習経験がきわめて少ないことから,指導方法の面でも、それぞれの音楽本来の習得方法から離れて「学校教育化」(=単一化)されていく可能性がある。
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