2008 Fiscal Year Annual Research Report
音楽の分野による習得方法の多様性を活かした学校音楽教育の学習指導方法の開発
Project/Area Number |
18530700
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
杉江 淑子 Shiga University, 教育学部, 教授 (30172828)
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Keywords | 学校音楽教育 / 耳コピ / 音楽学習プロセス / 日本伝統音楽 / 諸民族の音楽 / ポピュラー音楽 / 音楽科教材 |
Research Abstract |
学校音楽教育は、教育内容面では多様化したものの、学習方法は学校教育独自の単一的な方法で行われる傾向がある。しかし、学校外では、音楽は、音楽の種類に応じた多様な方法で習得されている。伝統的な音楽の稽古方法、若者の「耳で聴いてコピーする」音楽の習得方法など、それぞれの音楽にとって合理的な学習方法が伝承され、発見され、選択されている。そこで、本研究では、1.学校音楽教育への多様な音楽学習方法の導入と併存の可能性、2.指導者が音楽への複数のアプローチ方法を身に付けることの可能性の2点を明らかにすることを目的に、基礎的な資料・データを収集し、実証的に研究を進めた。1については、平成20年度は、平成18年度末に全国の中学校音楽科教員3000名を対象に実施した郵送質問紙による実態調査(調査報告書作成済み)の分析を引き続き行った他、学校教育における音楽の種類に応じた多様な学習方法の先駆的実践例の収集と分析を行った。2については、西洋クラシック音楽学習者が非西洋音楽の学習方法を身に付けた事例として研究協力者(義太夫三味線奏者)の事例の分析を行った。また、西洋クラシック音楽の学習経験者でポピュラー音楽活動を行っている者が、新曲の習得過程において無意識に方法を使い分けていることも、聞き取り調査から推察できた。しかし、1の実態調査の結果と併せて考えると、学校教育に音楽の多様な学習方法を導入するには、教師自身の音楽学習経験幅の不足など解決すべき課題が多いことが示唆される。この解決のためには、音楽の種類に応じた学習プロセスの実際についてさらに観察と分析を重ね、教員養成において何が導入可能か、いかに教師の音楽学習経験の幅を広げていくことが可能かを今後検討する必要がある。なお、研究成果は日本音楽表現学会において口頭発表、ISME世界大会においてポスター発表を行った他、大学紀要において公表した。
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