2007 Fiscal Year Annual Research Report
公共性を視点とするアメリカとドイツにおける公民教育の研究
Project/Area Number |
18530726
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
吉村 功太郎 Tohoku Gakuin University, 教養学部, 准教授 (00270265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 一秀 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (60238029)
橋本 康弘 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (70346295)
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Keywords | 社会科教育 / 公民教育 / シティズンシップ教育 / 公共性 / 市民性教育 / 比較教育 / アメリカ:ドイツ |
Research Abstract |
今年度(平成19年度)は、あらかじめ設定した4つの研究課題をもとに、主に次の2点を行った。 (1)米国およびドイツにおいて開発された公民教育の教科書・教材・実践報告の収集と公共性をキー概念としての分析。 (2)米国での公民教育・政治学習プロジェクトの開発および教育実践の実地調査。 その結果、今年度は以下のような成果が得られた。 (1)米国の教材及び実践プロジェクトの分析から、以下のようなタイプが特徴的なものとして挙げられる。(1)社会(公共)の担い手としての市民の育成のため、現実の社会問題を教材として社会的な判断をさせる問題解決型。(2)現実の社会的状況の中で社会的判断に基づく社会的活動までを行う社会参加型のプロジェクト。特に(2)のタイプについては、学校教育上のカリキュラム内で実践されているものと,カリキュラムの延長として地域のNPOや大学との連携のもとで地域社会を教育の場として実践されているものに大きく分けられることが明らかになった。 (2)ドイツの現地調査を通じて次の3点が明らかになった。(1)教室内で社会問題について判断を行う問題解決型の授業がカリキュラム上の正課の授業で行われている。(2)実際の地域社会の問題について判断し行動するという社会参加型の教材や実践プランも開発されているが、正課の授業に組み込むケースは限られており、多くは選択授業や放課後の活動を通じて実践されている。(3)PISAの学力調査を踏まえ、公共性を担う市民として必要な資質をコンピテンシー概念としてとらえ、それらの知識・能力を基盤とするカリキュラム構成の理論的構築を検討しており、一部は新カリキュラムに反映させている。 なお、昨年度(平成18年度)に実施した資料分析及び米国実地調査の成果の一部については、吉村と橋本が日本公民教育学会にて発表を行った。
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