2006 Fiscal Year Annual Research Report
「景観」を鍵概念とした地理学習における問題発見構造とカリキュラム開発
Project/Area Number |
18530733
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
吉水 裕也 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 助教授 (60367571)
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Keywords | 教科教育 / 社会科教育 / 地理教育 / 景観 / 問題発見 |
Research Abstract |
本年度は研究の初年度であるため,まず「景観」を研究対象とした基本的文献の収集を行ったうえで,以下の研究を行った。 (1)特に近年発表された景観に関する様々な研究分野における論文や単行本を精読した上で,景観に関する研究分野についての枠組みの整理を行った。特に地理学者によるものと,地理学者以外による研究とに分類して研究を整理した。地理学者以外では,哲学,社会学,歴史学,および造園や建築を含み都市計画などを中心とした工学等の研究成果をレビューした。 (2)景観に関する地理学習の内容構成を検討するために,上記の研究成果でそれぞれの研究者がどのような問題意識を持って景観研究を行っているのかを抽出した。特に,地域の景観を読み解く上で,地理学者以外の研究者がどのような内容を研究対象としているのかを整理した。その中で特に,どのような景観が望ましいと考え,どのような街づくりを行うのかという都市計画的研究の合意形成に関する事例を抽出し,実際に岐阜県飛騨市,静岡県掛川市,高知県四万十市を現地調査した。 (3)わが国の学習指導要領においても地理的技能に関する記述がみられるが,それとの比較対象として,英国ナショナルカリキュラム地理において,特に景観に関してどのような記述がみられるのか,またナショナルカリキュラムの内容を反映している教科書では,景観に関する事柄がどのように扱われているのかを整理した。特に,写真等を用いた景観の読み取りについてどのような扱いとなっているのかを整理した。この内容に関しては,岐阜聖徳学園大学紀要教育学部編第46集に発表した。 今年度の研究を踏まえて,次年度は地理学者および地理学者以外が景観という概念に対してどのような問いを設定しているのかという内容から,教科書等の景観に関する記述内容を分析するフレームワークを作成した上で,児童・生徒がどのような問いを基に景観について学習すべきかという内容を確定したい。
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