2006 Fiscal Year Annual Research Report
障害学生との交流に対する健常学生の支援意欲向上教育プログラム作成への包括的研究
Project/Area Number |
18530745
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河内 清彦 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50251004)
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Keywords | 障害学生との交流 / 健常学生 / 自己効力感 / 授業効果 / 講義満足度 / 態度変容 |
Research Abstract |
本研究は、オムニバス形式の心身障害学関連講義が、障害学生との交流に対する健常学生の自己効力感に及ぼす効果を解明するために行われた。学期の最初の授業と最後の授業を受講した学生を対象に、視角障害、聴覚障害、運動障害(障害条件)と非障害(統制条件)の大学生を交流対象とした「交友関係尺度」と「自己主張尺度」(河内、2003、2004)の8尺度を用いて調査を実施した。 調査に自主的に参加した148名の大学生の8尺度の事前・事後尺度得点平均値を対応のある場合のtテストで比較したところ、1%水準では、統制条件の両尺度で有意な得点上昇は得られなかった。これに対し、障害条件ては、視角障害と聴覚障害に有意な上昇が見られ、運動障害ても5%水準て有意な上昇が認められた。 次に、事前得点に基づき、調査参加者を自己効力感の強い高得点群74名と、自己効力感の弱い低得点群74名に分け両群の8尺度得点平均値を比較したところ1%水準で有意差が認められた。そこで、両群別に8尺度の事前・事後得点平均値を対応のある場合のtテストにより比較した。 その結果、事後得点が事前得点よりも1%水準で有意に上昇したのは、「交友関係尺度」「自己主張尺度」の両下位尺度とも、低得点群の3障害条件だけて、統制条件の低得点群に有意な上昇は認められなかった。また、高得点群はいずれの条件においても両下位尺度に有意な得点上昇は認められなかった。しかし、授業満足の程度では、低得点群と高得点群との間に関連は認められなかった。 以上の結果から、障害学関連講義の効果は、障害学生との交流に対する自己効力感の強い学生には有効ではない反面、自己効力感の弱い学生の自己効力感を強めるのには極めて有効であることが明らかとなった。特に、従来認知変容が難しいとされる障害者との交流場面での本音の行動に関する自己効力感を高める上で、有効な手段となることが示唆された。
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Research Products
(1 results)