Research Abstract |
平成19年度についても,幼児通園施設において,発逹障害児を対象に,動作法をベースとした身体的相互交渉により,共同注意を成立させ対人的な基盤を育む取り組みを行った。10名程度の子どもを対象に,週1回60分のセッションで,マンツーマンで援助者が訓練を担当し,スーパーバイザー(私)が全体の指導に当たった。 発逹障害児を対象に,身体的相互交渉を通し対人的な基盤を育む発逹支援は,まだ一般的ではないが,この点において「身体」は極めて重要な要因であると考えられる。実際に今回の実践を通して,程度の差はあるもののほぼ全員の子どもに,対人面での良好な変化が見られている。本研究における実際では,身体を通した直接的な関わりによって,まず,対人的な関心,対人的な志向性に高まりが見られ,「自己-他者」という対人的な繋がりが育まれていくことが大きな特徴であり,アイコンタクトや模倣,指差しなどの共同注意行動にも高まりが見られている。加えて,結果的に言語表出も高まるケースも少なくない。 このように,言語や共同注意行動な中心とするコミュニケーション発逹が多くの子どもに見られているが,ビデオ分析による共同注意行動の詳細な変化については,グループでの実践場面では難しく,対象児を絞り,別途セッション場面を整え経過を追うこととした。その結果,一連の共同注意行動の出現頻度が事例経過に伴い次第に高まっていったことが示された。発逹支援に伴う共同注意行動の出現頻度を詳細に捉え,実践に伴う発逹的変化を示した研究はまだ非常に少なく,その意羲は極めて高いものと言える。
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