2008 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期に多動・衝動的傾向を示す子どもの学童期における問題と支援に関する縦断的研究
Project/Area Number |
18530760
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
神田 直子 Aichi Prefectural University, 文学部, 教授 (30117783)
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Keywords | 子育て支援 / 育児不安 / 発達障害 / 子育て罪障感 / 多動・衝動的傾向 / 学童期の学校適応 / 縦断的研究 |
Research Abstract |
(1)1歳・3歳から始められた縦断研究参加者(小学校3年・5年生)の親に対して第5回目の調査を行った。600名余りに送付し、約550名分を回収した(回収率約90%)。調査内容は、学校や家庭生活での行動的特徴、発達障害傾向、学習状況、学校への適応、親としての不安、子育て罪障感、学校等への支援要求などである。また、子ども調査(学校・学習・友達関係・家族関係への意識、困難感)も始めて実施した。 (2)第5回調査は、回答データ入力を外部機関に委託し、素データとしてまとまった段階である。第4回までのデータを分析し、下記の内容のような論文にまとめ、日本保育学会、日本発達心理学会などで発表した。その一部を著書に反映させた。 (3)第一に明らかになったことは、次のことである。広汎性発達障害傾向を持つ子どもの親は、小学校移行段階で「子どもの友達関係」での不安が高く、また、「親自身の親仲間関係」についても不安を抱えている人が多く、学校への行事参加の負担感が高かった。学校に対する要望も強く、教員の障害理解への全般的向上を求める声が強かった。また、学校だけでなく、理解ある学童保育所や地域での子育てグループでの支援が有効であったとする一方で、「一般的な支援でなく、特性に合わせた支援がほしい」という要求が多々あった。 (4)第2に明らかになったことは、広汎性発達障害傾向を持つ子どもの親の「子育て罪障感」は、「子の性格・状況否定場面」「母親役割不足場面」因子においては、一般群よりも低く、「脱母親役割場面」因子においては高かった。このことから、これらの母親は子どもの特性を理解しようとしている一方、子育ての息抜きがしたいと思った時罪障感が喚起されることが伺える。3回までの調査では気質的に「難しい子」の母親の「子どもの一時預け」の要求が高かったことを考え合わせると、子どもの特性から来る一時保育時の親対応・支援での視点という新しい課題が浮かび上がってこよう。
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Research Products
(5 results)