2006 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害の学齢期における予防・開発的なこころの健康支援に関する研究
Project/Area Number |
18530763
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 潤一郎 明治学院大学, 心理学部, 助教授 (70308071)
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Keywords | 広汎性発達障害 / 精神保健 / 特別支援教育 / 所属感 / 予防介入 |
Research Abstract |
高機能広汎性発達障害(HFPDD)の学齢期における予防・開発的なこころの健康支援方略を明らかにするため、所属感に注目して、以下の二点を検討した。 1.HFPDD児における所属感とその効果 HFPDDのうち、アスペルガー症候群(AS)の学童を対象に参加支援プログラムを実施した。プログラムは小集団形式で工作などの活動を行うもので、AS児が活動に参加し続けられるように工夫されており、週1回90分、1クール10回からなる。7名(小学2〜6年、男子6名、女子1名)が2クールに分かれて参加し、6名が参加を完了し、1名が中断した。終了時の半構造化面接から、6名全員が活動の場に対して所属感を得ており、3名は一緒に活動した他のメンバーにポジティブな関心を感じていた。AS児は参加に成功することで活動の場に所属感を得るようになるが、他の参加児に対するメンバーシップを同時に得るわけではないと考えられた。プログラム参加前後で情緒・行動の問題には大きな変化を認めなかった。平成19年度は追跡調査を加え、引き続き検討する。 2.HFPDD児に対するこころの健康支援と所属感に関する実態 横浜市内の情緒障害通級指導教室利用児167名を対象に保護者に調査を依頼し、37名(小学1〜6年、男子29名、女子8名)について回答を得た(回収率22.2%)。34名が高機能広汎性発達障害と診断されており、26名が医療機関に通院していた。医師の診察、心理士の面接、薬物療法は受けていたが、小集団指導、個別指導は受けていなかった。ほとんどが学校以外に定期的に集団形式の活動に参加していた(平均2.1ヶ所)が、通級指導教室に比べて所属感は低かった。同じ学校にHFPDD児が平均7.5人在籍し、お互いに知り合う機会も持っていたが、子ども同士が一緒に遊ぶことは少なかった。情緒・行動の問題と所属感の関係について検討が必要である。
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