2006 Fiscal Year Annual Research Report
発達性読み書き障害への支援体制整備のための科学技術・研究開発の運営方法の開発
Project/Area Number |
18530769
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Science and Technology Policy |
Principal Investigator |
石井 加代子 文部科学省科学技術政策研究所, 科学技術動向研究センター, 主任研究官 (30193246)
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Keywords | 発達障害 / 読み書き困難・障害 / 脳神経 / 認知 / 心理 / 行動 / 社会 / 養育・学習 |
Research Abstract |
専門誌や学術集会における、発達性読み書き障害に関連した一次情報を調査し、日頃このような情報に触れることの少ない、異分野の研究者・行政官・一般市民に発信した。同時に、様々な立場の人々が共通の言葉で議論できるように、発達性読み書き障害の日本としての共通の定義を設定することを提案した。又、発達性読み書き障害の問題に対処するためには、これを障害としてのみ捉えるのでなく、広く人類の生物学的進化や社会行動の発展・科学技術による社会変化の中での位置、他の能力・障害との関連など広い視野から捉える事が必要であると説いている(「口承文化再考」など)。また、障害への対応のみを目指した研究は視野が狭くなる危険性があるので、脳の機能や認知様式を解明する目的のために、障害において見られる特異的な現象を活用するという立場の研究を促進することも必要であると主張している。 子供はどのように育つものか・養育者や社会が子供をどのように育てたらよいかについての見解は、学習機構に関するヒトに共通な知識に加えて、社会の歴史や価値観が関係しそれぞれの社会によって異なる。日本の状況にてきした、養育・教育方法の基盤となる科学的根拠や知識の多くは、これらヒトの認知や社会行動などを研究対象とする認知科学の分野から多く産生されることが期待される。そこで日本認知科学会の学会誌で『社会は認知科学に何をもとめるか』という特集を企画・編集し、「認知科学の研究者がこどもの成長や教育の問題にどのように関与・介入できるか」、「社会にとって認知科学者の役割とはなにか」について考える機会を設けた。又自らも、日本の科学技術政策の中で「人間を理解するための認知ロボティクス」がどのように活用されるかという論文を載せた。人間を理解するため、脳科学・認知科学・心理学・行動科学のみならず理論科学・工学・社会科学・哲学などが融合して人と社会に関するプラットフォーム領域として認知ロボティクスの推進を提唱している。ヒト個人や集団の認知や行動様式など複雑な現象はシミュレーションでは解析しつくされない部分が多く、ロボット実機を用いた研究が有用であると説いた。先ずは、認知ロボティクスを活用した、発達障害児の感情理解・言語的相互作用などに関する研究が有効であり、様々な研究者。 文部科学省「情動の科学的解明と教育等への応用に関する調査研究」検討会議に委員として出席し、脳神経科学・認知科学・科学技術政策などの見地から情報提供し、議論した。
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