2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540005
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
後藤 泰宏 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (40312425)
|
Keywords | 代数学 / 代数幾何 / 数論 / L関数 / 形式群 / 国際情報交換 / カナダ |
Research Abstract |
本研究の目的は,L関数が具体的に計算できる数体上の代数多様体の族を新しく構成し,モジュラリティ問題を中心に,多様体の数論的及び幾何的性質を明らかにすることである。考察の中心となる多様体は,重み付きフェルマー型多様体に積,商,変形という操作を施して作られるもので,特に,2〜4次元のカラビーヤウ多様体について詳しく調べる。 当該研究の初年度に当たる18年度は,これからの研究対象となる多様体を特定し,そのL関数を精密に計算することと,その多様体の数論的または幾何的性質を明らかにすることを目標とした。その目標は概ね達成することができ,成果は次の2点にまとめられる。 1.いろいろな群作用を用いて,当該研究の目指す多様体の族を構成しそのコホモロジー群を計算した。そして,有限体上でそれらの多様体のゼータ関数を計算した。ゼータ関数が比較的よい形をしている場合にはL関数まで計算することができた。この結果は海外共同研究者の由井典子教授(カナダ・クイーンズ大学)との共同研究を含み,Zeta-functions and L-series of certain K3 fibered Calabi-Yau threefoldsという題目で共著の論文を執筆中である。 2.フェルマー型多様体から構成される3次元カラビーヤウ多様体について,コホモロジー群を詳細に記述し,正標数の体上で形式群の高さを計算した。この計算結果はこれまでに知られていなかったデータであり,18年12月にカナダのトロントで開かれた2006年度カナダ数学会冬季研究集会で,Formal groups of Calabi-Yau threefolds in positive characteristicという題目で研究発表を行った。 なお,海外共同研究者の由井氏とは,18年7月と12月に,それぞれ北海道教育大学函館校とカナダのトロントで集中的な共同研究を行った。
|