2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540005
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
後藤 泰宏 Hokkaido University of Education, 教育学部, 准教授 (40312425)
|
Keywords | 代数幾何 / 数論 / カラビーヤウ多様体 / L関数 / 特異点解消 / モジュラリティ / 国際研究者交流 / カナダ |
Research Abstract |
本研究の目的は,L関数が具体的に計算できる代数体上の代数多様体の族を新しく構成し,モジュラリティ問題を中心に,多様体の数論的,幾何的性質を明らかにすることである。中でも,重さ付きフェルマー型多様体から,商と変形を用いて作られる3次元カラビ-ヤウ多様体について詳しく調べる。 19年度は,カラビ-ヤウ多様体のL関数やコホモロジー群を精密に計算することと,多様体の代数的サイクルに関するTate予想とBeilinson予想の成立を検証することを目的とした。後半のTate予想等の検証には課題を残したものの,前半のL関数等の計算には数多くの結果を得ることができた。特に,3次元多様体の幾何的性質を詳しく把握できたことで大きな進展につなげられた。それをもとにカラビ-ヤウ多様体のモジュラリティが考察できた。具体的には,重さ付き3次元多様体の特異点解消を詳しく記述し,3次元カラビ-ヤウ多様体のL関数を精密に計算した。そして,得られた特異点解消の情報を利用して,ある種の3次元カラビ-ヤウ多様体のモジュラリティを(モチーフ的に)示すことができた。3次元の特異点解消の幾何的な考察は数多くあるが,代数体上の数論的なデータはまだ少ない。よって,代数体上でL関数を詳しく計算できたことは新しい。また,特異点解消の情報をモジュラリティに結びつける手法は今後の応用につながると期待できる。これらは,海外共同研究者である由井典子教授との2度の打合せを通して得られた結果である。主な研究成果は2008年1月にサンディエゴで開かれたアメリカ数学会の研究集会で発表した。
|