Research Abstract |
1次元変形族を持つようなカラビ・ヤウ多様体の周期積分のラプラス変換に関して,米国ワシントン大学のC.Doran氏との共同研究を実施した.ラプラス変換はランダウ・ギンツブルグモデルと呼ばれる振動積分表示を持つが,本研究では,これまで知られていたものとは異なったタイプのランダウ・ギンツブルグ理論が得られた.振動積分は通常,無限遠に不確定特異点を持つ微分方程式を満たすが,本研究で得られた振動積分はこの不確定特異点が退化したものになっていて,また,この退化を反映して,解のストークス行列にこれまでのランダウ・ギンツブルグモデルにない性質が見いだされた.特に,幾つかの場合に具体的な計算によって,ストークス行列は整数行列となることが確かめられ,また,現れる整数値についてホモロジー論的なミラー対称性予想から期待される形との簡単な整合性を確かめることが出来た.さらに,超曲面型のカラビ・ヤウ多様体の周期積分を考える場合,一般に周期積分のラプラス変換は,Gelf'and, Kapranov,Zelevinskiによる多変数超幾何微分方程式のラプラス変換として,統一的に扱うことが出来ることが明らかにされた, 研究成果について,国外研究集会「Derived Categories of Coherent Sheaves and Mirror Symmetry」(於:Korean Institute for Advanced Studies,韓国)に参加講演し発表を行った. また,国際研究集会「Modular Forms and String Duality」(於;Banff International Research Station,カナダ)に参加して,ミラー対称性に関わる周期積分とそれが満たす微分方程式について一般講演を行い,この中で,ラプラス変換と振動積分そしてストークス行列につても言及した.
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