2009 Fiscal Year Annual Research Report
混合ホッジ構造のモジュライ空間のコンパクト化とlog幾何
Project/Area Number |
18540017
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中山 能力 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (70272664)
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Keywords | 対数的幾何学 / 混合ホッジ構造 / ホッジ理論 / 加藤-臼井空間 / 巾零軌道 / SL(2)-軌道 |
Research Abstract |
当研究は混合ホッジ構造のモジュライ空間のコンパクト化を、log幾何を用いて構成することを目ざすものであった。今年度は、加藤和也氏、臼井三平氏との共著である、SL(2)-軌道によるコンパクト化(以下SL(2)-コンパクト化)についての論文をまとめることができた。これは、存在が予想される、八つのコンパクト化のうちの一つである。この論文は約100頁であり、最近投稿された。 論文の概要は以下の通りである。 1.混合ホッジ構造の標準分解の再定式化。 2.混合SL(2)-軌道の定義および冪零軌道との関係。 3.SL(2)-コンパクト化の、集合としての定義。 4.符号付き対数構造の一般論。 5.SL(2)-コンパクト化の二通りの自然な位相と実解析構造(第一構造、第二構造)の定義。それぞれの局所的な記述。これらの定義の方法は、純な場合と同様な座標関数の他に、ボレル-セール持ち上げによる座標関数を用いる。SL(2)-軌道定理は、このコンパクト化を用いて自然に解釈される。 6.SL(2)-コンパクト化の大域的な性質。特に、第二構造は、各部分商の対応する空間と分解の空間との直積空間上固有という著しい性質を持つ。 7.第一構造を用いたnorm評価の再定式化。Hodge距離の退化、height pairingの退化との関係。 また今年度は、ホッジ予想の研究者との交流が深まり、多くの有益な情報交換があった。当研究との関連では、これまでは扇の概念が基本的と思われていたが、実際には弱扇の方が、解析的ネロン模型等への応用上は重要であることがわかり、今後の冪零軌道によるコンパクト化の研究は、弱扇の文脈で展開していくことが予想される。
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Research Products
(2 results)