2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540026
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 信一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (90114438)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 敏彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20157283)
|
Keywords | 対称空間 / 表現論 / 簡約群 / 有限体 / 局所体 |
Research Abstract |
本研究は有限体やp進体上の簡約群に付随した対称空間の表現論を組織的に研究しようというものである.簡約群の対合シグマに関して対称空間を考える.われわれはp進体上の場合に,任意の対称空間の既約表現(つまり ディスティンギッシュトな既約表現)に対してシグマ分裂な放物型部分群とそのレビ部分群の相対尖点的既約表現の組で,元の表現が放物型部分群からの誘導に含まれるようなものが取れる,という部分表現定理を,ジャッケによる群の場合の拡張として一般の形で確立・発表していたが,今年度は,表現が自乗可積分になるかどうかがジャッケ加群のエクスポーネントを見ることでわかるというキャッセルマンの判定法を,対称空間上の表現の場合に自然な形で拡張した論文の最終原稿を完成させて,これを学術雑誌に発表した.またこの内容について日本数学会で一般講演ならびに特別講演(発表者は共同研究者の高野啓児)による発表を行った.証明はジャッケ加群(定数項)の理論や対称空間の構造論,特に分解定理を巧みに用いることにより得られるものである.この結果によりp進対称空間の調和解析が進展して,次の目標である緩増加表現が視界に入ってきたことになる.一方有限体上の対称空間の表現に対しては,坂内・川中・ソンによる予想を満たす対称空間の既約表現の系列の存在をある種の仮定の下で示すことに成功していたが,それ以外にも,トーラスの指標が定める幾何学的共役類がいくつかの条件を満たすとドリーニュールスティック誘導により対称空間の既約表現の系列が定まる可能性があることがわかり.これらから(少なくとも有限体の場合は)対称空間の表現全体の構造は最初に想定していたものより複雑になることがわかった.
|
Research Products
(2 results)