2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540037
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今野 拓也 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 准教授 (00274431)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 郁 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10260605)
市野 篤史 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40347480)
|
Keywords | 保型形式 / テータ対応 / L関数 / 内視論 / 保型周期 / L不可分性 / Gross-Prasad予想 |
Research Abstract |
今年度は低次のユニタリ群の間のθ対応(Howe双対性)と局所Langlands対応との関係についての研究を進めた。整数論における保型形式の構成法にはEisenstein級数とのθ級数(θ対応)によるものがある。 Eisenstein級数では放物的部分群からの誘導表現に属する保型形式しか構成できないが、θ対応はモジュラー輪体で周期を持つなど、数論的、幾何的に重要な保型形式を幅広く構成できる。そこで保型表現の間のθ対応や、その局所理論をなす簡約デュアルペアの間の局所θ対応の記述が求められる。 2000年前後の保型L関数および逆定理を用いた古典群上の保型形式の記述の発展により、θ対応を保型L関数で捉える指針が得られた。特に保型L関数に結びつきやすいgenericな保型形式に対してはJiang-Soudryらによりその予想が確かめられつつある。一方で一般線型群以外の古典群ではL函数を共有する、いわゆるL不可分な保型形式がある。先の予想でθ対応する保型形式のL不可分類の中でどれとどの保型形式がθ対応するかは長い間ミステリーであった。 しかし最近になって古典群上の保型形式の周期の局所的解析が進み、それに伴って周期をL不可分類内の保型形式がどのように分け合うかについての予想(Gross-Prasad予想など)が得られた。これとAdams-Barbasch、Paulらによる実簡約デュアルペアの間の局所θ対応の決定などを受けて、L不可分類の中の保型形式のθ対応についても指針が得られつつある。 昨年度行った実ユニタリデュアルペアに対するこの予想の証明に続き、今年度はこの予想をp進体上の低次のユニタリ群の場合に進めた。まず2変数ユニタリ群の場合に表現のL不可分類をLabesse-Langlandsに倣って記述し、さらにその局所θ対応による実現を得た。この実現を用いてそれらの表現に対する齋藤・Tunnell型の指標公式を得た。これにより2変数ユニタリ群の表現の1変数ユニタリ部分群についての局所周期が保型L函数の関数等式の符号で記述できた。この指標公式からU(2、2)のある種の保型表現の指標公式も引き出すことができた。この結果についてフランスCIRMで行われた国際会議で発表した。 1変数ユニタリ部分群の局所周期に関する結果から2変数ユニタリ群の間の局所θ対応を記述するPrasadの予想が証明できる。対する保型形式の間のθ対応については大域的な周期とL不可分類の関係の解明が必要であり、来年度以降に考察する計画である。
|
Research Products
(8 results)