2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今野 拓也 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 准教授 (00274431)
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Keywords | 保型形式 / 周期 / Gross-Prasad予想 / 局所テータ対応 / endoscopy / ユニタリ群 |
Research Abstract |
保型形式のモジュラーサイクル上の周期は本来、保型L函数の特殊値の標記に現れたり、保型形式の代数体上の有理性を示したりする重要な不変量であった。近年ではp進保型形式と付随するGalois表現の研究の急速な発展を受けて、周期の詳しい構造の研究が急務となりつつある。特に保型形式自身ではなくそれが属する保型表現の整数論的な性質で周期を記述しようとする「Gross-Prasad予想」やその池田・市野による精密化が基本的な問題設定と言える。 これらの指導原理はモジュラーサイクルがシンプルな記述を持つ特殊直交群の場合に提示されたが、ごく最近になって、Galois表現の研究に広く用いられているユニタリ群上の保型形式に対する類似も定式化されるようになった。しかし一般線型群と幸運な同型が存在する低次の特殊直交群と異なり、ユニタリ群ではランク1の場合から「L不可分性」の問題が起きるため、ユニタリ群でのGross-Prasad予想の実例は古典的な設定のものに限られているのが現状である。 この研究課題ではL不可分性の度合いを測る内視論(endoscopy)と周期の関係をランク1ユニタリ群の場合に調べている。今年度はまず前年に引き続いてp進体上のランク1ユニタリ群の既約表現の局所周期と内視論の関係の解明を進めた。特に整備を続けてきたユニタリ群の局所テータ対応を用いて、新たに非等方ランク1ユニタリ群の場合に局所Gross-Prasad予想を解決した。昨年までの結果と併せてランク1ユニタリ群の局所Gross-Prasad予想が完全に証明できたことになる。この応用としてユニタリ群のテータ対応を内視論で記述するPrasadの予想をランク1ユニタリ群の場合に解決できた。 上記の結果によりこれまで準分裂ランク2ユニタリ群に対して進めてきたCAP保型形式の研究を非準分裂な場合にも拡張できることが期待される。また従来Hilbert保型形式の周期に対する問題と見られていたものを、U(1,1)上の保型形式のそれと捉えることで志村、吉田敬之らによる周期の分解をより精密に捉え直せる期待がある。
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Research Products
(3 results)