2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラドン・ペンローズ変換と無限次元表現論を用いた開複素等質多様体上の大域解の研究
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18540070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関口 英子 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教授 (50281134)
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Keywords | ペンローズ変換 / 半単純リー群 / ユニタリ表現 / 有界対称領域 / 複素多様体 / 積分幾何 / 概均質ベクトル空間 / 超幾何函数 |
Research Abstract |
当該研究は無限次元表現論を用いた開複素等質多様体上の大域解の研究をテーマとし,半単純リー群の特異ユニタリ表現を援用してツイスター理論の高次元化を解明することを目的とする。このために,簡約リー群Gcの一般化された旗多様体Gc/P(PはGcの放物型部分群)上に,Gcの実形Gの作用を考える。このときG-軌道は有限個であることが知られており(青本和彦氏,Wolf氏,松木敏彦氏),特に開軌道が存在する。この開軌道Dを一つ選び,その上のG-同変な正則直線束L→Dを一つ定めると,Gは大域切断のなす空間Γ(D, L)や高次コホモロジー群H^*(D, L)に線型に作用し表現を定める。Gがコンパクトの場合は得られた表現は.Borel-Weil-Bottの定理による有限次元表現に他ならない。Gがコンパクトでない場合は,一般にH^*(D, L)は0か無限次元になる。今年度はGc=Sp(n, C),G=Sp(n, R)とし,様々な放物型部分群Pに対しある特定の開軌道Dを選び,その上で次の積分幾何の問題を研究した。 (イ)Dの中で極大なコンパクト複素部分多様体の族を群論的に定義する。 (ロ)部分多様体の族が与えられているとき,コホモロジーの元を各部分多様体に引き戻すことができる。 このステップにより,部分多様体の族をパラメトライズする多様体(実は有界対称領域になる)上の函数が得られた。さらにSerreの双対定理を援用して,この対応を部分多様体上の積分を用いて表せ,高次元の場合の「ペンローズ変換」を非コンパクト等質複素多様体上のドルボーコホモロジーの空間に定義することができる。この変換がC型の場合は単射でないことを発見し,証明を行った。これらの結果を筑波大学で行われた国際研究集会"Integral Geometry and Harmonic Analysis"(2006年8月,主催者:筧知之氏,大島利雄氏,Gonzalez氏)で"Radon-Penrose transform for the quantization of elliptic orbits"というタイトルで1時間の講演を行った。また高崎金久氏が中心となって企画した特集『ツイスター理論の拡がり』において無限次元表現論の立場から「表現論とペンローズ変換」を執筆した(文献[1])。
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Research Products
(1 results)