2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 毅 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (20273427)
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Keywords | キャパシティー / シンプレクティック幾何学 / モジュライ理論 |
Research Abstract |
モジュライ空間は楕円型非線形偏微分方程式の解全体の空間であるが,コンパクト多様体上ではかなり進んだ一般論がある.その一方で非コンパクトな場合には個別の状況に応じた構成が必要とされる.ここではコンパクト空間上で成立するモジュライ理論の構成のうち,非コンパクト空間上でも成り立つようなものを4次元多様体に関して抽出し,それをもとに非コンパクト空間上でのモジュライ理論を構成した.特にキャッソンハンドル上でのモジュライ理論の構成をおこなった.一般に非コンパクト空間上でのモジュライ理論に関して二つのステップがあり,一つは線形化方程式のフレドホルム理論,もう一つは横断正則性理論である.4次元多様体上ではこれまで前者の構成ができていた.昨年度までの研究により,後者の横断正則性に関する解析を行った.その手法は非コンパクト空間上の関数空間を漸近的にコンパクト空間上で近似するような商関数空間の構成を行い,さらにそれらを用いてある種の一様評価を与えることでモジュライ空間の横断正則性を導いた.これにより,もとの4次元多様体の微分構造に関する複雑性についての評価を得た.特に微分構造は無限樹木で記述されるが,その増大度の下からの評価を得た.これから導かれる予想として,その樹木の増大度は指数関数的であることが期待される.また逆に指数増大度の樹木を持つような非コンパクト空間上ではフレドホルム理論は成立しないことも予想される.それらについては今後の課題である.
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Research Products
(7 results)