2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐久間 一浩 近畿大学, 理工学部, 助教授 (80270362)
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Keywords | 多様体 / 写像の特異点 / トム多項式 / 折り目写像 / カスプ特異点 / 特性類 / 障害理論 / 分類空間 |
Research Abstract |
無限階微分可能な多様体の上の良い写像の存在の研究を目指し、値域多様体の次元の方が大きい場合は、いわゆる「埋め込みはめ込み問題」として1940年代から広く研究されているため、本研究では値域多様体の次元の方が定義域多様体の次元よりも小さい場合の良い写像の存在問題の研究として、折り目特異点のみをもつ写像、すなわち折り目写像の存在とその障害について研究した。値域が1次元の場合はモース関数であり、20世紀初頭にすべての多様体上に存在することがしられており、2次元の場合は1960、70年代のトム、レビン、エリアシュベルグによるカスプ消去定理により定義多様体のオイラー標数が偶数であることが必要十分条件として知られていた。本研究では、主に3次元の場合を考察し、まずは定義域多様体の次元が偶数の場合と奇数の場合に分けて考察された。次元が奇数の場合は問題を解くのが少し易しく、カスプ特異点のトム多項式、すなわち(n-1)次のスティーフェル・ホイットニー類が消えるときが折り目写像の存在のための必要十分条件であることがわかった。次元が偶数の場合で、かつ定義域多様体が向き付け可能な場合は、8次元以上ならば、R.Sadykov氏によりいつでも存在することが最近示された。本研究では、その未解決の6次元の場合を考察し、定義域多様体の4次のスティーフェル・ホイットニー類が消えるならば折り目写像が存在することがわかった。しかし、これが必要条件か否かは不明である。ただし、この結果については多様体の向き付け可能性の条件は不要であり、向き付け可能ならばいつでも存在することがわかる。したがって、向き付け不可能な6次元閉多様体の場合の必要条件を求めることが残された課題である。証明の手法は、最近になって開発された安藤良文氏による2-ジェットのレベルにおける折り目写像空間のホモトピー原理を用いて成される。安藤氏の結果から、問題を写像のリフト問題に、さらにホモトピー論に帰着できる。そこで、スティーフェル多様体のホモトピー群の計算と障害類、およびスペクトル系列の計算等によって証明が成される。
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Research Products
(1 results)