2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540102
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐久間 一浩 Kinki University, 理工学部, 准教授 (80270362)
|
Keywords | 多様体 / 特異点 / トム多項式 / 障害類 / 折り目写像 |
Research Abstract |
本研究では値域多様体の次元の方が定義域多様体の次元よりも小さい場合の良い写像の存在問題の研究として、折り目特異点のみをもつ写像、すなわち折り目写像の存在とその障害について研究した。本研究では、主に値域多様体が3次元ユークリッド空間の場合を考察し、まずは定義域多様体の次元が偶数の場合と奇数の場合に分けて考察された。次元が奇数の場合は問題を解くのが少し易しく、カスプ特異点のトム多項式、すなわち(n-1)次のスティーフェル・ホイットニー類が消えるときが折り目写像の存在のための必要十分条件であることがわかった。本研究では向き付け不可能な3次元閉多様体の場合も含め、定義域多様体の第二シュティーフェル・ホイットニー類が消えることが折り目写像が存在するための必要十分条件であることを示した。さらに、値域多様体が4次元ユークリッド空間の場合を考察し、定義域多様体が向きづけ可能な4次元閉多様体ならば、折り目とカスプのみをもつ写像が存在するための必要十分条件が、第一ポントリャーギン類が消えることであることを示していた。これは定義域多様体が向き付け可能である限り、トム多項式が唯一の障害類であることを示している。そこで、定義域多様体を向き付け不可能な場合も含めて考察すると、二次障害類が現れることを発見した。すなわち、第一ポントリャーギン類が第一次障害類であり、第四次シュティーフェル・ホイットニー類が二次障害類であることが分かった。このような例は、向き付け可能な4次元閉多様体から3次元ユークリッド空間への安定写像の場合に、二次のコホモロジー類で記述される二次障害類が発見された場合に続く現象である。いずれにしても、4次元多様体に関する結果であるが、高次元多様体で二次障害類を見いだすことが来年度の課題となろう。
|