2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540102
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐久間 一浩 Kinki University, 理工学部, 准教授 (80270362)
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Keywords | 無限階微分可能写像 / 可微分多様体 / 写像の特異点 / 折り目特異点 / カスプ / トム多項式 / 特異点消去の障害類 / 安定スパン |
Research Abstract |
滑らかな多様体の間の無限階微分可能写像の特異点集合と定義域多様体の位相構造や微分構造の間には密接な関連がある。本研究では、60年代、70年代に確立されたトム、レビン、エリアシュベルグのカスプ特異点解消定理の拡張版を考察した。彼らの結果は値域が2次元ユークリッド空間の場合の考察であるが、本研究では値域が3次元および4次元ユークリッド空間の場合の写像の特異点解消と定義域多様体の特徴付け定理を得るのが目的である。最近の3次元ポアンカレ予想の解決から、4次元ホモトピー球面から3次元ユークリッド空間への定値折り目写像が存在すれば、そのホモトピー球面は4次元球面に微分同相であることが従う。さらに、特異点集合は2次元球面に微分同相であるが、その埋め込みが滑らかに自明であることが分かる。定義域が4次元閉多様体のとき、4次元ユークリッド空間への折り目写像の存在のための必要十分条件は、向き付け可能ならば、安定平行化可能であることであり、向き付け不可能ならば、2次と4次Stiefel-Whitney類が消えることであるという特徴付けが得られる。特に、後者の場合は2次のStiefel-Whitney類はカスプ特異点のThom多項式であるが、4次のStiefel-Whitney類はThom多項式とは直接関連しない障害類であり、Thom多項式をジェット切断の第一次障害類の見なす立場からは第二次障害類が見いだされた例となる。実際、その証明はPostnikov分解と障害理論に基づき、第二次障害類として上記のコホモロジー類が現れることが計算される。この意味で、これをsecondary Thom polynomialという呼ぶのは妥当であろう。
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