2006 Fiscal Year Annual Research Report
特異性の解をもつ偏微分方程式の数値解法と数値解析に関する研究
Project/Area Number |
18540107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
方 青 山形大学, 理学部, 助教授 (10243544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 新蔵 山形大学, 理学部, 教授 (50007176)
澤田 秀樹 山形大学, 学術情報基盤センター, 教授 (30095856)
西村 拓士 山形大学, 理学部, 助手 (90333947)
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Keywords | 境界値問題 / 有限差分法 / 有限要素法 / 超収束 / 反復法 / カオス力学系 / 写像の非微分可能性 / モデル化 |
Research Abstract |
本年度に以下の研究成果を得た。 (1)2点境界値問題の差分解の誤差評価 1988年にAscher, Mattheij, Russellは2点境界値問題の新しい数値解法を提出した。2次収束の予想はされたが、その収束性の証明はopen problemとなっている。研究代表者は、このAscher-Mattheij-Russellスキームに対して、離散Green関数とM-行列等の性質を研究して、2次収束であることの証明に成功した。この2次収束性は境界の近くでは超収束性をなしている。研究成果を論文としてInformationに発表した。 (2)特異性の解をもつDirichlet境界値問題の差分解の微分の誤差評価 研究代表者は、台湾中山大学のZi-Cai Li教授、オーストラリアThe University of Western AustraliaのSong Wang教授との共同研究で、多角形領域における特異性の解をもつポアソン方程式のDirichlet問題の数値解を考えた。Shortley-Weller有限差分スキームを有限要素法の特別な場合に書き直して、有限要素法のframeworkの中で差分解の微分の収束解析を行った。真の解のは微分は境界の近傍で発散するにもかかわらず、差分解は離散H^1ノルムでO(h^<1.5>)のオーダーで超収束性をしている成果を得た。これについてすでに論文として取りまとめた。 (3)代数方程式(多項式)の解を求める同時反復法に関する新しいアルゴリズム 研究代表者は、ブルガイアAcademy of SciencesのKyurkchiev教授、Iliev教授との共同研究で、代数方程式(多項式)の解を求める同時反復法を考えた。すべての解または指定した一部分の解を同時に求める新しいアルゴリズムを提出した。多項式の解が孤立であれば、この方法は局所的に3次収束することを証明した。研究成果を論文としてに発表した。 (4)コンピュータのネットワークのutilityに関する研究 研究分担者の澤田教授と研究代表者の共同研究で、コンピュータのネットワークのutilityについて考えた。インターネットや交通機関などに求めらる、便利かつ安全というような対立する複数の要素を統合して各要素のバランスをうまくとりながら、システム全体の効用(utility)を、向上させて行くことは可能であろうかという問題のモデル化を研究した。研究成果は論文として取りまとめた。 (5)カオス学系における確率密度関数の軌道についての研究 研究分担者の河村教授は、一般化されたテント写像群における位相共役写像の非微分可能性についてコンピュータにより実験し理論として証明を与えた。研究成果は、Far East Journal of Dynamical Systems等の専門誌に発表された。 (6)M系列に対する重みディスクレパンシー検定についての研究 研究分担者の西村助手は、重みディスクレパンシー検定を用いて周期が長いM系列乱数の重み分布検定における性質を調べた。3項式によるM系列では次数が10000程度でも実用的なシミュレーションには適さない事がわかった。
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