2006 Fiscal Year Annual Research Report
差分法に基づく超高精度数値解法の構築と非適切な偏微分方程式逆問題への応用
Project/Area Number |
18540108
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
代田 健二 茨城大学, 理学部, 講師 (90302322)
大浦 洋子 九州情報大学, 経営情報学部, 教授 (70122695)
|
Keywords | 応用数学 / 逆問題 / 数値解法 / 偏微分方程式 / 差分法 / 最小二乗法 / 正則化 / 特異値分解 |
Research Abstract |
非適切問題として典型的なラプラス方程式に対する一般的なコーシー問題や、時間逆向き熱伝導方程式の初期値・境界値問題について、超高精度の数値解を作るためには、境界要素法による離散化には限界が感じられた。そこで、汎用性を保ったまま離散化の精度を容易に上げることのできる差分法に取り掛かった。高次の差分法を、本研究では指数関数群を基底に用いて開発し、これを指数関数補間による任意多点差分法と命名した。この補間法により、50次程度までの精度向上が容易になった。 一方、コンピュータ内での四則演算における丸め誤差をも、離散化精度の向上にあわせて、小さくしなければならない。京都大学大学院情報学研究科・藤原氏によって開発されている任意計算精度演算プログラムexflibをご提供いただいて、解が特異点を持たないようなラプラス方程式や熱伝導方程式の逆問題であれば、十分に精度の高い数値解を構成することを可能とした。 この任意精度多点差分法による偏微分方程式の解法の成功の裏には、求められるべき解が対象領域の近くに特異点をもたないという条件の外に、境界値などのデータは正しく与えられているということが要請されている。しかしながら、工学・医療などの応用においては、データに測定誤差が入ることが当然である。ノイズを含むデータを上記の方法で扱うと、方法自体の鋭敏性のために、却って悪い数値解が得られてしまう。 精度を高く保ちつつ、ノイズのあるデータの受入れを可能とする計算方法は原理的にはないと言える。精度が高い方法は、間違いなく鋭敏であるからである。精度をある程度犠牲にして、方法の頑健性・安定性を確保しながら、ノイズのあるデータを許すために、最小二乗法の系統として知られているチコノフの正則化法を志向した。そのために、先ずは行列の特異値分解を再考することとした。
|