2008 Fiscal Year Annual Research Report
楠岡近似に依る拡散過程の数値計算の新しいアルゴリズムとファイナンスへの応用
Project/Area Number |
18540113
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
二宮 祥一 Tokyo Institute of Technology, 大学院・イノベーションマネジメント研究科, 教授 (70313377)
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Keywords | 確率諭 / 数理工学 / アルゴリズム |
Research Abstract |
X(t,X)を確率微分方程式で記述される拡散過程であるとし、f を m次元空間上に定義された適当な滑らかさを持つ関数とする。この時、E[f(X(t,x))]の値を求めることを確率微分方程式の弱近似という。確率微分方程式の弱近似問題は、現在、各方面で利用されている。特に所謂金融派生商品の価格付けは、X(t,x)を資産過程とした場合の弱近似問題そのものであるので、金融産業の現場ではこの計算が日々、膨大に行われていることになる。しかし乍ら、確率微分方程式のこれ程の利用が始まってからまだ歴史が浅いこと、近年の計算機の能力が達成される以前は、そもそもこのような計算が現実的には 無理だった為にこの問題の研究があまりされてこなかったこと、などから、弱近似問題については未だ効率的な計算方法の研究の歴史は通常の微分方程式の数値解法の歴史に比べると甚しく短かいものである。本研究では、この弱近似問題について画期的な近似理論の確立とそれを実現するアルゴリズムの構築を目指したが、本年迄の研究でそれはほぼ成功した。特に当該年度においては、開発されたアルゴリズムについて、以下の点で進歩があった。 (1)[Ninomiya-Victor(2008)],[Ninomiya-Ninomiya(2007)]の二つのアルゴリズムが高次近似のアルゴリズムであることの数学的証明を完成させた。(2)アルゴリズム[Ninomiya-Ninomiya(2007)]において、確率変数の値として抜き出されるODEの数値計算を一般化されたRunge-Kutta法を用いて行うことの正当性を数学的に証明した。
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Research Products
(2 results)