2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540120
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
桑村 雅隆 Kobe University, 人間発達環境学研究科, 准教授 (30270333)
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Keywords | ハミルトン構造 / 波数選択 / チューリングパターン / 周期解 |
Research Abstract |
本研究の主要なテーマである、勾配・歪勾配構造をもっ反応拡散方程式系の研究を行った。この構造をもつ反応拡散方程式は、ハミルトン構造という解析力学の基本的形式を備えている。例えば、FitzHugh-Nagumo型の反応拡散方程式やSwift-Hohenberg方程式は勾配・歪勾配系であり、その分岐パターンの研究においては、解析力学の方法論が適用できる。本年度は、反応拡散方程式系に現れるチューリングパターンの波数選択の問題に取り組み、その結果をJapan Journal of Industrial and Applied Mathematics, vol.25,pp.281-303(2008)において発表した。また、新しい研究テーマを開拓するために、ショウジョウバエの中腸幹細胞系の増殖分化の問題を、神戸大学理学研究科の安達卓准教授と共同で考察した。ショウジョウバエの中腸上皮の組織は、主に幹細胞、前駆細胞、内分泌細胞、吸収細胞の4種類の細胞からなり、それらはWntおよびNotchシグナルによって制御されている。Wntシグナルを活性化する細泡を実験的に特定し、幹細胞系に関する増殖分化のモデル方程式を提案して解析を行うことにより、この幹細胞系はある条件の下で定常的に維持されることがわかった。この結果をThe second China-Japan Colloquium of Mathematical Biology, August4-7,2008,Okayama Universityにおいて発表した。
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