2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540122
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 徹 Okayama University, 大学院・環境学研究科, 准教授 (20260664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 毅 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50169447)
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Keywords | 応用解析 / 関数方程式論 / 感染症 / 免疫学 / 生態学 |
Research Abstract |
本年度は、体内におけるマラリアやHIVのダイナミクスを記述する常微分方程式系に対して、定性的な性質をより詳しく調べる研究を行った。 マラリアに対するダイナミクスを記述するモデルは、体液性免疫を取り入れたものである。このタイプのモデルに対して、吸収項(感染の際に病原体が宿主細胞に吸収される状況に対応する項)を無視した場合には、その内部平衡点の安定性は局所的にも大域的にも既に知られている。今年度は、吸収項を考慮した場合に対して、リアプノフ関数を構成する事により、内部平衡点の大域安定性に関するある程度の結果が出た。一方HIVに対するモデルは、細胞性免疫を取り入れたものである。このタイプのモデルに対しても、リアプノフ関数を構成する事により、内部平衡点の大域安定性に関する結果を得る事ができた。これで、体内における病原体ダイナミクスを記述する基本的モデルにおける主要な4つのパターン(吸収項がある・ない、液性免疫・細胞性免疫)のすべてのパターンに対して、その定性的性質が(完全ではないにせよ)わかった事になる。 また、上記研究と並行して、抗原と免疫細胞の相互作用におけるサイトカインの効果について、数理的な観点からの研究を行った。考えているいくつかのパターンのモデルに対して、平衡点の局所安定性に関する結果を得た。これらの結果のひとつは次の通りである。サイトカインの効果を考えないモデルにおいては、内部平衡点は、ただひとつ存在して、安定である。一方、サイトカインの効果を取り入れたモデルでは、安定なリミットサイクルが起こりうる。これは、サイトカインが持続的な振動を引き起こし得る可能性があることを示唆している。
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Research Products
(5 results)