2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540130
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白井 朋之 Kyushu University, 数理学研究院, 准教授 (70302932)
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Keywords | 行列式点過程 / ジニブル点過程 / ランダム行列 / 全域木 |
Research Abstract |
正方行列の各成分が独立同分布な標準複素ガウス分布に従うランダム行列の複素固有値は,複素平面上のランダムな点配置(点過程)と捉えられる.この点過程は回転に関して不変であり,さらに行列のサイズを無限大にした極限点過程はジニブル点過程と呼ばれ,回転不変かつ平行移動不変な行列式点過程の構造を持つことが知られている.ジニブル点過程は複素平面上の標準複素ガウス分布に関する二乗可積分な関数空間を基礎として複素指数核をパラメータの積分核とする行列式点過程となるが,このジニブル点過程に対して,固有値の絶対値のべきとその角度に付随する振動項との積としてあらわされる関数に対する線形統計量とその摂動に関する分散の漸近挙動を調べた.また,非衝突一次元ブラウン運動(ダイソンモデル)を代表例とする,行列式点過程を不変にする多くの時間発展のモデルが,非対称な積分核を用いた行列式点過程であらわされることが発見されて以来活発な研究がなされている.これらのモデルに共通な性質を抽象して,有限底空間の場合に,ある特別な性質をもつ非対称積分核によって定義される行列式点過程が,対称積分核で定義された行列式点過程の場合とほぼ同様の枠組で論じることができることを確かめて,その基本的な性質を調べた.また,そのことを利用して,ある有限平面グラフのクラスに対して,そのグラフの全域木全体からなる集合上の一様分布を定常分布とする,ある非対称積分核から定まる時間発展の例を構成することを試みた.
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Research Products
(3 results)