2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540135
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田畑 稔 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (70207215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 惟行 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (20029565)
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Keywords | 人口移動 / 計算機シミュレーション / エージェント / 数理モデル / 数理疫学 / マスター方程式 / 性感染症 |
Research Abstract |
昨年度は同世代間の感染伝播速度が速いクラミジア性感染症の数理疫学モデルの解析の準備として、同感染症より世代内伝播が穏やかなヒト成人T細胞白血病(HTLV-I)の数理疫学モデルについて研究を行ったが、この数理疫学モデルの構築と数値解析結果、並びに数理解析結果をより進化させることにより、同世代間の感染伝播速度が速く、さらに年齢を超えて他世代への感染が広がりやすい性感染症の代表格として、Chlamydiaの数理疫学モデルの構築を試みた.この性感染症に関する多くの先行研究では、母集団動態に対するキャリア比が時間無限大でゼロに収束、あるいは正定値で存続できる条件をもとめているが、我々は現在の日本の青少年を取り巻く公衆衛生環境を考慮して、より大きな感染率パラメーターについて数値計算と数理解析を進めた.その結果、キャリアが減少せず今後およそ10年で大規模なクラスターが形成されることを計算機ミュレーションで示すことに成功し、これを学術図書(Progress in Nonlinear Analysis Research、Editor:Erik T.Hoffmann、2008、Nova Science Publishers、Inc.)の一章を用いて詳細に議論した.これらの研究で用いた方法は、微分方程式、差分方程式および確率論を基礎としているが、世代間に感染が広がる他の性感染症の数理疫学モデルの構築に利用出来る汎用性の高い方法である.またこの方法はエントロピー係数の計算にも応用可能である.数値計算で得られたキャリア分布を年齢層全体で眺めると、著しい年齢的性別的偏在があることが分かる.特に若年女性の今後予想される感染率の急上昇は大きく、公衆衛生上の重大な危機と言える.
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Research Products
(2 results)