2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540137
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
飯塚 勝 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (20202830)
|
Keywords | 確率過程 / マルコフ過程 / 一般化拡散過程 / 極限分布 / 集団遺伝学 / 拡散モデル / 遺伝的浮動 / 確率的自然淘汰 |
Research Abstract |
集団遺伝学に現れる確率モデルに対して、次の3つの解析を行った。 (1)「集団遺伝学に現れる1次元拡散過程から定義される条件付き極限分布の研究」 集団遺伝学に現れるさまざまな1次元拡散過程モデルに対して、2つの境界点のいずれにも到達していないという条件の下で導かれる、時間を無限大に発散させたときの極限分布(条件付き極限分布)を考え、その性質を考察した。その結果を学術論文にまとめて発表した。 (2)「集団遺伝学に現れる離散時間確率モデルの拡散近似の境界条件に関する研究」 集団遺伝学に現れる1次元離散時間確率モデル(Wright-Fisher model)の拡散近似を行ったとき、極限過程として現れる1次元拡散過程の境界は正則境界となることがある。この場合、どのような境界条件を課することが適切であるかを考察した。 (3)「自然淘汰とランダム・ドリフトの相互作用の下での多次元確率モデルにおける境界への初期到達時間の研究」 2つの遺伝子間で相補的な自然淘汰が働く集団遺伝学モデル(互助的中立突然変異モデル)における境界への初期到達時間に関する性質を、突然変異率が小さい場合にコンピュータ・シミュレーションを中心とした方法により解析した。また、これらのモデルを近似する多次元拡散モデルを導出し、近似の妥当性を考察した。さらに、自然淘汰の効果が存在しない場合に境界への初期到達時間に対する遺伝子間の組み換え率の影響を考察した。本研究を遂行するにあたり、この問題の生物学的側面に知見の深いアメリカ合衆国ペンシルバニア州立大学のH.Akashi教授とメリーランド州マルチンガム集団遺伝学研究所のJ.Gillespie教授と研究打ち合わせを行った。
|