2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540137
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
飯塚 勝 Kyushu Dental College, 歯学部, 准教授 (20202830)
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Keywords | 確率過程 / マルコフ過程 / 拡散過程 / 分子進化 / 集団遺伝学 / 拡散モデル / 遺伝的浮動 / 互助的突然変異 |
Research Abstract |
本年度は以下の2つの研究を行った。 集団遺伝学に現れる多次元確率モデルである「二倍体生物集団における自然淘汰の互助的相互作用(2つの遺伝子座、もしくは、2つのDNA塩基座位を考え、どちらか一方に突然変異が生じると有害だが、2つの突然変異が共存すると、有害性が消失する座位間相互作用)による分子進化の確率モデル」の研究を行った。この確率モデルに対応する離散時間マルコフ連鎖であるWright-Fisherモデルと、これを近似する多次元拡散モデル(拡散過程)モデルを用いて以下の解析を行った。多次元拡散過程に対する境界への初期到達時間(突然変異体の集団への固定待ち時間)の平均がみたす偏微分方程式の数値解析により得られた結果と、離散時間マルコフ連鎖のコンピュータ・シミュレーションにより得られた結果を検討し、拡散近似の定量的妥当性を確認した。とくに、組み換え率が大きいときは、Wright-Fisherモデルを近似する拡散モデルは、組み換え率が大きくない場合の拡散モデルとは異なり、independent loci diffusion modelをいう拡散過程であることが示されたので、この新たな拡散過程に対応した偏微分方程式の数値解析を行い、その結果を組み換え率が大きい場合のWright-Fisherモデルの結果と比較検討した。これらの結果を総合して、学術論文の作成を開始した。 集団遺伝学における一次元拡散モデル(拡散過程)から誘導される条件付き確率過程(左境界点より先に右境界点に到達するという条件のもとで誘導される確率過程)の概念を一次元広義拡散過程の広いクラスに拡張し、その性質を明らかにした。その結果を学術論文として発表した。
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