2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
細野 雄三 京都産業大学, 工学部, 教授 (50008877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 芳樹 京都産業大学, 理学部, 教授 (90065871)
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Keywords | 反応拡散系 / 感染症モデル / 進行波解 / 伝播速度 / 線形予測 / 相空間解析 |
Research Abstract |
本年度は、感染症の伝播モデルとそれに密接な関係にある自己触媒反応拡散系に焦点を当てて研究を行った。 1、高次自己触媒反応拡散系にたいして、自己触媒と反応物がともに空間的に拡散する場合について、進行波解の存在と速度が拡散係数と自己触媒反応の次数にたいしてどのように依存性するかを数値計算と相空間解析によりにより明らかにした(京都大学数理解析研究所講究録1498)。そして、得られた数学的に厳密な結果と証明はJJIAM, Vol.24,No.1の論文としてまとめた。 2、上記の研究で得られた成果を、本研究の目的である侵入と伝播の問題における重要な課題の一つである感染症の数理モデルの研究の観点から捉えなおし考察した。すなわち、伝染病の空間的な伝播を記述する決定論的モデルのひとつのクラスである反応拡散モデルについて、積分方程式モデルとの関係を議論し、伝染病の空間伝播モデルの中での反応拡散モデルの位置づけを検討した。とくに、伝播速度の評価を得るために広く用いられる線形予測(Linear conjecture)について考察し、進行波解の解析を通して感染症の伝播速度が、系に表れるパラメータにどのように依存するかを明らかにした(京都大学数理解析研究所講究録1499、京都産業大学論集36号)。そこで得られた数理生物学的に重要な結論は、「感染率が一定のときは感染症の伝播速度は未感染者の拡散係数に依存しないが、感染率が感染者の密度に依存するときには伝播速度は未感染者の拡散係数に依存することがある」という結果が得られたことである。さらに、感染症モデルにおいて重要な役割を果たす感染率についてどのような関数形が理論生物学モデルで現れるかの検討を行い、それら種々の感染率にたいして感染症の伝播現象の研究を行っている。
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Research Products
(5 results)