2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540144
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
細野 雄三 Kyoto Sangyo University, 工学部, 教授 (50008877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 芳樹 京都産業大学, 理学部, 教授 (90065871)
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Keywords | 反応拡散系 / 感染症モデル / 進行波解 / 伝播速度 / 相空間解析 / 非線形感染率 |
Research Abstract |
1、感染症伝播を記述する拡散を伴うKermack-McKendrickタイプのSIRモデルにおいて、空間次元が2次元の場合に発展方程式による感染症の伝播の様相のシミュレーションを行い新しい知見を得た。特に、未感染者が空間的に非一様に存在する初期状態に感染者が侵入したとき、感染症の伝播の様子は初期条件に大きく依存し、感染症伝播の波が複数現れるという興味ある数値実験結果が得られた([1])。報告者達の以前の研究により、SIR常微分方程式モデルにおける閾値定理に現れる閾値が同時に進行波解の存在条件を与えることを証明しているが、本年度行った数値実験結果においても、その閾値が2次元空間での感染症の伝播状況を本質的に規定していることが明らかとなった。さらに、空間2次元の場合のさらなるシミュレーションによるモデル方程式の性質の解明と、これらの非一様初期条件下の感染症伝播波の解析は1次元の場合も含めて今後の課題である。 2、感染症伝播を記述する2成分反応拡散モデルにおいて、感染者が免疫を獲得しないか除去されない場合に、進行波解の存在と伝播速度の問題を昨年度に引き続いて解析的に考察した。非線形感染率がMichaelis-Menten型、高次多項式型の場合を含めて、その関数形がどのように伝播速度に影響を与えるか、感染者と未感染者の拡散係数が等しいときと、未感染者が拡散しない2つの特別な場合に伝播速度の評価を得た。これら2つの場合には、相平面解析が適用できてかかなり一般的な非線形感染率に対して議論が可能であった。しかし、より一般の拡散係数の場合については3次元相空間解析が必要となりまだ結果が得られていない。現在引き続き研究中である。
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Research Products
(4 results)