2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540152
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
星野 弘喜 Fujita Health University, 医療科学部, 准教授 (80238740)
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Keywords | 数理モデル / 浸潤 / 進行波 / 相平面解析 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
1999年にPerumpananiらは悪性腫瘍細胞の結合組織への浸潤を記述した数理モデルを導出した。彼らあるいはその後の研究において、数値計算的にさまざまなタイプの進行波解が得られている。 研究代表者の星野は、彼らの提唱した最も単純化されたモデルで(拡散項のない)未知関数が2つの空間1次元の偏微分方程式系に対して、進行波解の存在の解析的な証明を与えることに成功した。相平面解析により証明したが、進行波解が満足する常微分方程式系にはある種の特異性が含まれていて、それらを処理することが重要であった。特に相平面において不変領域を定めて解軌道を求めたが、その構成の特徴付けが明確になり、モデル提唱者の予想を支える結果となった。年度内に論文として発表できなかったが、現在纏めている。 また解軌道の平衡点付近での漸近的な表現を、中心多様体の理論などを適用して求めることができた。同時に進行波解の左右遠方での平衡解への収束の速さを得ることができ、悪性腫瘍細胞の密度の進行元(左側)は多項式的に、進行先(右側)は指数関数的に収束することを証明した。 さらに相平面の様子を数式処理ソフトで図示したり、有限要素法などの数値計算によって進行波以外の解をシミュレーションした。特に有限要素法による数値実験により進行波解の安定性・不安定性に関連する興味深いシミュレーション結果を得たが、その理論解析は今後の課題である。 2000年にMarchantらは同じ系方程式に対して双曲型保存則方程式に見られる不連続性(ショック構造)が進行波解にも見られることを数値実験を通して提示した。これに対する理論解析的検証はデリケートな部分があり、今後の課題である。
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