2007 Fiscal Year Annual Research Report
ノルム空間の数域半径作用素空間への埋め込みに関する研究
Project/Area Number |
18540159
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊藤 隆 Gunma University, 教育学部, 教授 (40193495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渚 勝 千葉大学, 理学部, 教授 (50189172)
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Keywords | 作用素空間 / 数域半径作用素空間 / 数域半径 / 作用素環 |
Research Abstract |
作用素空間が,抽象的作用素空間(Ruanの公理を満たす空間)と具体的作用素空間(ヒルベルト空間上の作用素ノルムをもった有界線形作用素からなる部分空間)の2つの側面をもつように,伊藤-渚によって導入された数域半径作用素空間も2つの側面(伊藤-渚の公理を満たす空間)と(ヒルベルト空間上の数域半径ノルムをもった有界線形作用素からなる部分空間)をもつ。一方,数域半径作用素空間が作用素空間に比して,(作用素空間を1つ固定した上でも)ノルムの多様性を持つことから,いくつかの良い構造を取り込むことが出来た。 実際,具体的作用素空間をRuanの表現定理を用いると,順序構造が壊れ,*構造も保存できなかった事実に対し,数域半径作用素空間の上に順序付の作用素空間を*を保存して表現することに成功した。例えば,C*-環の双対空間を完全等距離の意味で,具体的作用素空間に*を保存して埋め込むことは,Ruanの構成の仕方から不可能であった。しかしながら,最大数域半径作用素空間を用いると,C*-環の双対空間を*を保存し,かつ完全等距離に有界線形作用素のなす部分空間にノルムと数域半径を保って埋め込めることを示せた。また,その副産物として,古典的な数域半径ノルムを作用素ノルムを用いた表現で表すことが出来,さらに研究の経過とともに証明の簡略化も図れた。 数域半径作用素空間を研究することにより,作用素空間の構造も同時に見て取れることから,作用素空間の研究においても,本研究の意義は,大きいと考えられる。
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