2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
池畠 優 群馬大学, 工学部, 教授 (90202910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 一実 群馬大学, 工学部, 助教授 (60217156)
天野 一男 群馬大学, 工学部, 助教授 (90137795)
伊藤 弘道 群馬大学, 工学部, 助手 (30400790)
大江 貴司 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (90258210)
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Keywords | 解析学 / 境界値逆問題 / 逆散乱問題 / 亀裂 / 障害物 |
Research Abstract |
解の一組のCauchyデータを使った囲い込み法の弾性体における空洞、介在物あるいは亀裂などの不連続性の存在する場所や形状を抽出する問題は支配方程式が連立であることや特異点での解の挙動が複雑であることから長い間懸案であった。今回対応する二次元の問題を考え、亀裂が線状でその端点のひとつが弾性体表面における既知の点であるという仮定のもとで、もう一つの未知の端点を、表面における‘うまく制御された'応力と対応する変位の一組から決定する公式を確立した。証明は池畠の囲い込み法のアイデアにもとづき、次の三つにわけられる。まず解の亀裂先端での、その特異性をあらわす展開公式の厳密な収束証明を与えた。その本質は、亀裂先端の近傍を変換した領域で、Airyの応力関数をMuskhelishviliの議論を用いて解析接続したとき、先端に対応する点が除去可能特異点になっていることであることが分かった。次に弾性体の方程式の複素指数関数解とデータから大きな独立変数の指示関数を構成し、指示関数の変数無限大における完全漸近展開公式を、解の展開公式を使って確立した。最後にその完全漸近展開公式を使って、応力拡大係数が消えないという条件を導入するかわりにより緩い条件である‘うまく制御された'応力を表面から加えると、指示関数が変数無限大のとき真に代数的減衰をすることを証明した。さらに未知の亀裂とは独立に与えることができる‘うまく制御された'応力の例を与えた。これは、どのような力を表面に与えれば、亀裂の情報を抽出できるか、という問いにたいするひとつの解答であると考えられる。今後は非等方弾性体や空洞、介在物等についてはどうかという点を解き明かしたい。
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