2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540160
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
池畠 優 Gunma University, 大学院・工学研究科, 教授 (90202910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 弘道 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30400790)
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Keywords | 解析学 / 境界値逆問題 / 熱伝導逆問題 / 熱方程式 / 弾性体 / 空洞 / 逆向き熱方程式 / 非破壊検査 |
Research Abstract |
1.熱伝導体の表面の一部における有限観測時間における温度および熱流束の組から、その表面からできるだけ離れた、内部の指定した点における温度の時間発展についての情報を抽出する問題は、応用上重要な典型的な逆問題である。今回は、支配方程式が熱方程式に帰着される場合においてこの問題を考察し、囲い込み法の考え方による具体的な抽出公式を確立した。その核心は、逆向き熱方程式の通常の基本解とは異なる、大きなパラメタを持った特別な基本解を構成しパラメタを無限大にしたときの挙動を調べることでなされた。副産物として熱方程式に対する Carleman型の公式も得られた。 2.熱伝導体中に発生した空洞などの欠陥の情報を、有限観測時間において物体表面に与えた熱流束と対応する表面温度分布から抽出する問題の解は非破壊検査等に応用をもつ。今回は、この問題への囲い込み法の応用について研究した。逆向き熱方程式の大きなパラメタを持つ実の指数関数解を使って、極めて簡明な、空洞の凸包等の情報を抽出する公式を得た。この結果は、以前の、空間1次元の場合の結果の、空間2,3次元への拡張になっている。有限観測時間におけるデータを使っているということと、大きなパラメタに依存した熱流束を物体表面に与え対応する表面温度分布からある量を計算するとそれが空洞の支持関数等の情報を与えるというこの方法の、他のさまざまな逆問題への展開は、今後の課題である。 3.囲い込み法による、表面における応力と対応する変位の一組から弾性体中に発生した空洞の存在する場所や形状を抽出する問題は支配方程式が連立であることから長い間懸案であった。今回は、変位の支配方程式が空間2次元におけるNavier方程式に帰着されかつ空洞が多角形状である場合、その支持関数を抽出する公式を確立した。多角形の頂点の近傍における解の展開の収束証明を与えた点が核心部分である。
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