2006 Fiscal Year Annual Research Report
非線形波動方程式の孤立波解の安定性と解の爆発に関する研究
Project/Area Number |
18540161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
太田 雅人 埼玉大学, 理工学研究科, 助教授 (00291394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 茂昭 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90205295)
長澤 壯之 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (70202223)
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Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 非線形波動方程式 / 爆発 / 定在波 / 安定性 |
Research Abstract |
本年度は、デルタ関数をポテンシャルにもつ非線形シュレディンガー方程式の定在波解の安定性と、消散的非線形シュレディンガー方程式の解の大域存在と爆発について研究した。 デルタ関数をポテンシャルにもつ非線形シュレディンガー方程式は、ポテンシャルと非線形項がそれぞれ、引力的と斥力的な場合で4通りの場合があるが、ポテンシャルと非線形項がともに斥力的な場合には、定在波解は存在しないので、それ以外の3通りの場合が考察の対象となる。 まず、ポテンシャルと非線形項がともに引力的な場合に、福泉、太田、小澤は、定在波の変分的特徴づけ、及び最小化列のコンパクト性を用いて、定在波解の安定性と不安定性を示した。次に、ポテンシャルが斥力的で、非線形項が引力的な場合に、福泉とJeanjeanは、偶関数に制限した空間において、定在波解の安定性と不安定性を示した。福泉とJeanjeanの証明は、線形化作用素のスペクトル解析に基づいているが、福泉、太田、小澤の証明と同様に、最小化列のコンパクト性を用いた簡易化した別証明を与えることができた。最後に、ポテンシャルが引力的で、非線形項が斥力的な場合に、神永と太田は、定在波解の安定性を示した。この場合の証明には、非線形項が引力的な前2つの場合と異なる、定在波解の変分的特徴づけを用いる必要があった。以上の結果は、デルタ関数が1つの場合であったが、今後の研究課題としては、ポテンシャルが複数のデルタ関数の重ね合わせで表される場合に拡張することを計画している。 消散的非線形シュレディンガー方程式に関して、太田とTodorovaは、初期値に応じて消散係数を十分大きくとれば、解が時間大域的に存在することを証明した。また、非線形冪が優臨界p>1+4/n(nは空間次元)で、消散係数が十分小さい場合には、非消散的な場合に知られているものと同じ条件の下で、解が有限時間で爆発することを証明した。臨界冪の場合に、解の爆発を示すことが今後の課題として残されている。
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Research Products
(4 results)