2008 Fiscal Year Annual Research Report
非線形波動方程式の孤立波解の安定性と解の爆発に関する研究
Project/Area Number |
18540161
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
太田 雅人 Saitama University, 理工学研究科, 准教授 (00291394)
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Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 非線形偏微分方程式 / 孤立波 / 変分法 / Ostrovsky方程式 |
Research Abstract |
非線形シュレディンガー方程式は、非線形場を記述する基礎方程式として、物理学や工学において重要であるのみならず、数学的にも興味深い問題を含み、様々な観点から盛んに研究されている。非線形シュレディンガー方程式の解の中で、孤立波解は方程式の記述する物理現象と密接に関連する特徴的な解として、特に重要な特殊解である。数学的には、孤立波解の存在及びその安定性と不安定性を調べることが基本的な問題となる。 さて、本年度の主な研究成果は、3波相互作用をもつ非線形シュレディンガー方程式系の孤立波解の軌道不安定性に関する、ボルドー大学(フランス)のMathieu Colin氏及びThierry Colin氏との共同研究である。国内のいくつかの研究集会やセミナーにおいて、これまでの研究成果について講演し、また、2008年8月に、カナダのBanff International Research Station for Mathematical Innovation and Discoveryにおける研究集会"Asymptotics and Singularities in Nnlinear and Geometric Dispersive Equations"に参加し、水町徹氏、中西賢次氏らと研究打合せを行なったことを契機として、線形不安定性から軌道(非線形)不安定性を示す際に用いられていた技術的な仮定を取り除き、一般的な条件の下で孤立波解の軌道不安定性を証明することに成功した。また、これまでの証明では、分数階微分を用いた技巧的な計算が必要であったが、シュレディンガー方程式の特性を利用して、空間変数に関する2階微分の代わりに、.時間変数に関する1階微分を用いることにより証明を大幅に簡素化することができた。最後の点は今後の応用上、重要であると考える。
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Research Products
(5 results)