2008 Fiscal Year Annual Research Report
粘性解理論に基づくハミルトン-ヤコビ方程式の漸近解の研究
Project/Area Number |
18540165
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤田 安啓 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 准教授 (10209067)
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Keywords | ハミルトンーヤコビ方程式 / 漸近解 / オーブリー集合 / 比較定理 / 相加相乗の不等式 / ヘルダーの不等式 / ヒルベルトの不等式 |
Research Abstract |
上記研究課題に関連して,領域がn次元ユークリッド空間全体のときのハミルトンーヤコビ方程式の劣解および優解のオーブリー集合による比較定理を利用して,数々の不等式を統一的に導く1つの方法を導いた。この方法は,2つの函数の差である函数の最小値を取る点についての考察に基づいている。その証明において,重要な役割を果たすのがハミルトンーヤコビ方程式の劣解および優解のオーブリー集合による比較定理である。この意味において,この結果は交付申請書の「研究の目的」,「研究実施計画」に記載したオーブリー集合と漸近解の関連の解析という項目にも適合している。 ここで示した方法は既知のいくつかの不等式を簡単に導くことを可能にしている。例えばこの方法から導かれる不等式の例として,相加相乗の不等式,ヘルダーの不等式,ヒルベルトの不等式などがある。これらは解析学において初等的であると同時に重要な役割を果たす不等式であるが,これらの不等式の証明は各々別なものと考えられてきたようである。しかし,上記方法はこれらの不等式を統一的に示すことを可能にしている。 この結果に関する事柄は,2008年度日本数学会秋季総合分科会の函数方程式分科会,実解析学シンポジウム2008およびローマ大学で開かれた国際研究集会で研究発表を行った後,査読つきの国際数学雑誌Communications on Pure and Applied Analysisにて研究論文として発表された。
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Research Products
(7 results)