2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540174
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹井 義次 Kyoto University, 数理解析研究所, 准教授 (00212019)
|
Keywords | パンルベ階層 / 退化ガルニエ系 / 完全WKB解析 / 変わり点 / 単純極 / 偏微分方程式 / 初期値問題 |
Research Abstract |
本年度は、4つの研究目標の中の(3)第二種変わり点での高階パンルベ方程式の標準型の発見、及び(4)高階パンルベ方程式のインスタントン型形式解の接続公式の決定、について考察を進めるとともに、それに関連するパンルベ方程式の単純極の解析や、完全WKB解析の視点からの偏微分方程式の形式解の研究を行った。まず本来の研究目標に沿った研究については、第二種変わり点での標準型であろうと思われる方程式がどうやら見つかった。それは、若子英晶君と昨年度に論じた(D_8)型の退化した第3パンルベ方程式の2変数版とも言える、(やや特殊な)退化ガルニエ系の1次元複素直線への制限である。残念ながらこの標準型の接続公式の決定やそれを用いた高階パンルベ方程式の接続問題の解明にはもう少し時間が必要と思われるが、その準備として、(D_8)型の退化した第3パンルベ方程式がパンルベ方程式の単純極における標準型であることを証明することに成功した。この証明は、上記の方程式が確かに第二種変わり点での標準型であることや、また高階パンルベ方程式の単純極を将来論じる際の雛形を与えるものと期待される。更に、高階パンルベ方程式と多変数のガルニエ系との密接な関連を念頭に置けば、偏微分方程式系の完全WKB解析は是非とも解明したい重要なテーマである。その第一歩として、ある種の偏微分方程式の初期値問題の形式解の総和可能性を完全WKB解析の視点から考察し、変数係数の方程式の場合にはこの問題にもストークス幾何が関係することを明らかにした。今後は超幾何系やガルニエ系といった偏微分方程式系との関連を重視しながら、パンルベ階層のWKB解析の完成を目指すこととしたい。
|
Research Products
(7 results)