2006 Fiscal Year Annual Research Report
リーマン面上の射影構造の研究とその双曲多様体・複素力学系への応用
Project/Area Number |
18540179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中西 敏浩 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00172354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
作間 誠 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30178602)
諸澤 俊介 高知大学, 理学部, 教授 (50220108)
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Keywords | タイヒミュラー空間 / リーマン面 / 射影構造 / 写像類群 |
Research Abstract |
曲面上の複素射影構造が定めるホロノミー表現は曲面の基本群のSL(2,C)表現について研究を行なった。とくに重点をおいたのは曲画の基本群のSL(2,C)表現の空間上の写像類群の作用に関する研究である。 研究の目標は、穴あき曲面群のSL(2,C)表現の空間に座標系を導入し、その座標系のもとで写像類群の作用を記述することである。そのためにR.C.Pennerによる(装飾付き)タイヒミュラー空間の座標系をSL(2,C)表現空間上の指標関数を用いて複素化することを考えた。Penner座標によって写像類群は有理写像からなる変換群として表現できるが、その証明において中心的役割を果たすのが「トレミー型恒等式」である。我々の複素化された座標系については双曲幾何的手法が使えないが、SL(2,C)に属する行列のトレースについて成立する初等的な関係式のみを用いて「トレミー型恒等式」を証明することができた。これにより穴あき曲面群のSL(2,C)表現空間上でも写像類群は有理写像からなる変換群として記述することが可能となった。このことが本年度の研究の成果である。 ただし我々が導入した座標は、正確には表現空間上の多価関数となるので、大域的座標系を与えるようにうまく分枝を定める作業が課題として残っている。 写像類群のSL(2,C)表現空間上の作用が有理写像として作用することはさまざまな応用をもたらす。円周上のファイバー構造を持つ絡み目補空間の双曲化は擬アノソフ的写像類の作用に関する不動点を見つけることに帰着できるので、このプログラムに沿っていくつかの具体例を計算した。
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Research Products
(3 results)