2007 Fiscal Year Annual Research Report
周期的な点相互作用に従う1次元シュレディンガー作用素のスペクトルについて
Project/Area Number |
18540190
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉冨 和志 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (40304729)
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Keywords | 点相互作用 / 周期ポテンシャル / シュレディンガー作用素 / スペクトラルギャップ / 漸近挙動 / ディオファントス近似 |
Research Abstract |
周期的なδ'型点相互作用に従う1次元シュレディンガー作用素のスペクトラルギャップについて考察を行った. κ∈(0,2π)とβ,γ∈R-{0}をパラメータとし, H=-d^2/dx^2+Σ_<1∈Z>(βδ'(x-κ-2π1)+γδ'(x-2π1))in L^2R とおく.ただし,δは原点におけるディラックのデルタ関数を表し,δ'はその微分を表す.ポテンシャルの周期性により,Hのスペクトルσ(H)はバンド構造を持つ.σ(H)の第jギャップをG_jで表し,その長さを|G_j|で表す.τ=2π-κとし,κ_o=τ/κとおく.本研究では,|G_j|の漸近的性質と,κ_oの数論的性質を結びつける結果を得た.得られた結果の内で最も典型的なものについて述べる.κ_oは無理数であると仮定する.κ_oのマルコフ定数をM(κ_o)で表す: M(κ_o)=sup{m>0; q|qκ_o-p|<1/mをみたす(p,q)∈Z×Nが無限個存在する}. M(κ_o)の性質は,κ_oの数論的性質と密接に関係することが良く知られている.得られた結果は次の定理である.定理β+γ=0ならば,lim inf_<j→∞>|G_j|=2π^2(κτM(κ_o))^<-1>が成り立つ. 周期ポテンシャルに従う1次元シュレディンガー作用素の従来の研究では,数論をもちいたスペクトルの解析は全く行われてこなかった.当該研究における結果は,スペクトル理論と数論の新しい関係を与えるという意義と独創性を持つ.
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Research Products
(8 results)