2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540193
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
厚地 淳 Keio University, 経済学部, 教授 (00221044)
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Keywords | ネヴァンリンナ理論 / 有理形関数 / 多様体上のブラウン運動 / 値分布論 |
Research Abstract |
昨年までの研究で、有理形関数に対するネヴァンリンナの定理が一般の完備ケーラー多様体上でも成立することがわかった。 今年度はさらに、この具体例として、複素ユークリッド空間内の部分多様体に対してネヴァンリンナの定理を示し、代数的多様体などの具体例に対してこの上の有理形関数の除外点の個数の評価を与えた。また、熱核を用いたネヴァンリンナ理論の類似について検討し、有理形関数の除外点の個数の評価に応用した。旧来のネヴァンリンナ理論の延長線上にある方法を用いてネヴァンリンナの第二主定理を求めると、リッチ曲率についての項のほかに、一般には評価の難しい剰余項が発生してしまう問題があった。一般に有理形関数の除外点の個数は定義域のリッチ曲率に関する量によって評価されると予想される。今年度検討した熱核を用いた方法により、リッチ曲率の負の部分が可積分な場合は、ある増大度を持つ有理形関数に対してこれが正しいことがわかった。 特に、多様体が放物的である場合には、エネルギー有限な有理形関数の除外点の個数は、リッチ曲率の積分値と関数のエネルギーの比によって与えられることを示した。これらの成果は、二つの国際研究集会『Probabilistic Approach to Geometry』(京都、8月)、『Complex Hyperbolic Geometry and related topics』(カナダフィールズ研究所、11月)を含む4件の研究集会で発表された。
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Research Products
(5 results)