2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540201
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
山上 滋 Ibaraki University, 理学部, 教授 (90175654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日合 文雄 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (30092571)
泉 正己 京都大学, 理学研究科, 教授 (80232362)
大嶋 秀明 茨城大学, 理学部, 教授 (70047372)
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Keywords | 作用素環 / テンソル圏 / 双加群 / 量子代数 |
Research Abstract |
2007年度は、主として次の二点にまとめられる。一点目は、過去からの継続内容を含むものである。二点目は、今回、新たに見出された所見である。 1.テンソル圏の構造について考察する上で重要な方法に双加群による表現がある。とくに、解析的な状況では、作用素環がヒルベルト空間に作用する形での双加群が基本的であり、部分因子環論との関係と相俟って多くの研究がなされてきた。 その際に扱われる作用素環としては、いわゆる因子環がまず考察の対象となるのであるが、その場合においても、考える因子環が有限型か無限型かによって、微妙な違いの存在が知られている。 テンソル圏の構造自体を問題にするのであれば、無限型因子環が作用する場合が扱いやすく、セクター理論としてまとめられている。 一方、有限型の場合には、テンソル圏の構造のみならず、双加群の作用の左右によるサイズの違い(無限型の場合には、このいずれもが無限サイズになって違いが生じない)によって、より細かな区別が必要となる。圏論的立場から見た場合に、この2つの相違点が何に由来するのかというのが、ここでの研究テーマであった。 研究の結果、テンソル圏を双圏の形に広げることで、次のようなことが明らかになった。 W*圏の間の正規関手のなす双圏は、W*双加群の作るそれとテンソル圏として同型である。 2.テンソル圏を対称性の双対に対する対応物と捉えた場合に、量子代数の対称性に対する新たな視点が得られる。量子代数をこのような観点から見直すとき、その状態空間の幾何学的構造に対する新たな問題が派生することになった。 具体的には、状態間の遷移確率についてのモデルを通じた記述問題であるが、これについても研究の対象として考察を始めたところである。
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Research Products
(2 results)