2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540201
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
山上 滋 Ibaraki University, 理学部, 教授 (90175654)
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Keywords | 作用素環 / テンソル圏 / 遷移確率 / 面代数 |
Research Abstract |
2008年度は、昨年度からの継続テーマと自由積テンソル圏の構成へ向けての研究を主として行った。 1. 昨年度の後半で新たに浮上した量子状態間の遷移確率についての記述についてであるがとくに、基本的と思われる正準交換関係から生成される作用素代数の場合に、量子状態として重要な地位を占める準自由状態に焦点を当てて、遷移確率の記述を試みた。その過程で遷移確率の近似公式が成立するかどうかの問題に逢着したため、主としてその定式化と証明を行った。技術的には、量子相対エントロピー等との関連で70年代に開発された状態に対する幾何平均の理論が大いに参考になった。比較的短期間でまとめることができ、LMP誌に掲載された論文がそれである。この近似公式導出の基になった、準自由状態の場合についても、進展があったのであるが、これについては次年度の研究に持ち越しとなった。 2. もう一つの研究内容は、テンソル圏の自由積に関連するものであり、幾何学的アプローチの成果の一つである平面代数とテンソル圏との関係についてであった。平面代数なるものは、Jonesがここ10年来、精力的に研究を推し進めている対象であり、平面代数とテンソル圏との類似性が、部分因子環論を仲立ちに繰り返し指摘させてきたのであるが、その直接的関係については、未だ十分解明されたとは言い難い。この間隙を埋めるべく圏論的アプローチをさらに推し進め、多重圏の概念を使い分析を行った。最終結論は、もう少し時間がかかる見通しである。
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Research Products
(2 results)