2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540201
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
山上 滋 Ibaraki University, 理学部, 教授 (90175654)
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Keywords | テンソル圏 / 自由積 / 平面代数 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、テンソル圏と平面図式の作る圏の関係を中心に考察を行った。Jonesいうところの平面代数が、一方で部分因子環の自由合成積と一方でoperadなる概念と密接に関わっていることは、当初から指摘されていたことであるが、この両者とテンソル圏さらにはその自由積にどのようなつながりがあるか解明することに意を注いだ。まず、operadよりも原初的な概念であるmulticategoryなるものを取り上げ、その線型表現に相当する関手が、自然に双圏をなすことを認識した。ここで双圏はテンソル圏の上位概念であることに注意する。さらに、これを手がかりに、平面図式の成すmulticategoryに対して、表現を与えることと平面代数を与えることが同値な内容であることを示し、平面代数とある種のテンソル圏の表裏一体性を確立した。また、平面図式にさまざまな属性を与えることで、関連するテンソル圏が同時並行的に取り扱える様子を観察した。そのうちのいくつかは、別の観点から過去に導入されたものと同一かあるいは密接に関係していることも把握することができた。テンソル圏の自由積については、未だ十分な解析に至っていないのであるが、上記の平面代数に付随するものにっいては、過年度に調べたFuss-Catalan型テンソル圏が、Temperley-Lieb圏の自由積を通じて、部分因子環の自由合成に対応するものであることの簡明な理由を見出すことに成功した。これについては、公表できる形にまとめる作業に取りかかっているところである。また、これ以外に、テンソル圏の解析的構造を調べる際の道具としての量子確率論を整備する必要性から得られた量子状態の遷移確率に燗する収束定理を応用することで、コヒーレント状態に対する遷移確率の閉じた公式を導くことができた。これについても、プレプリントを準備中であり、一部に結果については、数理解析研究所研究集会にて発表を行った。
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Research Products
(2 results)