2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
儀我 美保 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特任研究員 (20422397)
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Keywords | 非線形現象 / 界面運動方程式 / 粘性解 / 非線形偏微分方程式 / 結晶成長 / クリスタライン曲率流 / 自己相似解 |
Research Abstract |
結晶成長の問題では、結晶の界面構造の方向による異方性、つまり、ある方向に結晶は成長しやすいが、他の方向には成長しにくいという現象を考慮する必要がある。非等方的曲率流方程式は、そのような現象を記述する非線形拡散型発展方程式である。 本年度は、非一様場における特異な表面エネルギーによる曲線の運動を記述するモデルについて、新たな解の概念を導入し、曲線が関数のグラフの場合に、比較定理を証明する道筋をつけた。特異な表面エネルギーの場合、一様場においても曲率が非局所的な量である場合は非自明で、粘性解の理論を拡張して研究代表者らが過去に基礎理論を確立したが、今回は、劣微分の概念をも活用して、それを非一様場に対して一般化した。 また、クリスタライン曲率流方程式について必ずしも許容多角形ではない多角形を初期値とする問題について、その一意可解性を幾何的方法により確立した。Briot-Bouquet型の常微分方程式系であるが、現在ある一般論ではこの答えは求まらない。過去の研究でその存在を示した自己相似界との比較により、近似解のアプリオリ評価をつくり、その極限として解を構成した。この結果について、米国ニューヨーク大学、テキサス大学で講演し、関心を集めた。画像解析において画像の骨格(プリミティブ)を得るうえでも重要になると考えられる。 さらに自己相似解についての英文著書を完成させた。この著書では、形式的な議論ではなく、自己相似解を用いた解の漸近挙動について、その厳密な数学的基礎付けを述べた。特に、ナヴィエ・ストークス方程式等の拡散型発展方程式について、その解の漸近挙動が自己相似的になる例について解説した。
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