2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540206
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯部 健志 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10262255)
|
Keywords | Faddeev-Skyrme mode1 / 安定性 / ヤンーミルズ方程 / 臨界次元 / 正則性 / 変分問題 |
Research Abstract |
(1) 3次元球面上のFaddeev-Skyrmeモデルにおける、Hopfソリトンの最小性の証明: Faddeev-Skyrmeモデルは、3次元の場の理論において、中間子等の素粒子とその相互作用を記述するモデルである。これは、シグマモデルとは異なり、組紐状の弦粒子を記述する可能性のあるモデルとして、注目されている。 しかしこのモデルにおいては、非常に強い非線形性から、その定常安定解の構造等はよくわかっていない。本研究では、3次元球面上のモデルに対して、最小エネルギー解の構造を決定した。Wardは1999年に、半径が2の平方根より大きい球面上では、このモデルの代表的な解、Hopfソリトンは不安定解であることを示し、この逆も成り立つだろうと予想した(Ward予想)。本研究では、これを数学的に厳密に証明し、更にHopfソリトン解の近傍の最小エネルギー解の構造を完全に決定した。 (2) 臨界次元における、退化ヤンーミルズ接続の正則性の研究: 幾何学的変分問題に由来する多くの偏微分方程式には、臨界次元という、固有の次元が存在する。それは偏微分方程式が、ある種の郡変換で不変になる唯一の次元であり、このことから、この次元における偏微分方程式は、他の次元では見られない、多くの構造をもつ。 一般に、臨界次元における偏微分方程式のエネルギー有限な弱解は実は滑らかな古典解になることが、期待されているようである。このことは、山辺の問題に関連して現れるスカラーの非線形偏微分方程式では正しいことが、1960年代には知られていた。一方、調和写像の場合は、2次元以外は、この問題は一般的な形では未解決である。 本研究では、代表的な幾何学的偏微分方程式の一つである、ヤンーミルズ方程式に対して、臨界次元におけるエネルギー有限の(5次元以上では退化型の)ヤンーミルズ方程式の弱解は実は滑らかな古典解となることを証明した。
|