2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井口 達雄 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (20294879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隠居 良行 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (80243913)
石川 史郎 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (10051913)
高山 正宏 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (90338252)
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Keywords | 水面波 / 水の波 / 浅水波方程式 / 浅水波近似 / 長波近似 / KdV方程式 / Kawahara方程式 / Dirichlet-Neumann写像 |
Research Abstract |
単調な孤立波解を記述するKdV方程式、振動する孤立波解を記述するKawahara方程式、そして崩れる波を記述する浅水波方程式は、水面波の方程式の長波近似あるいは浅水波近似として形式的に導出される。水面波の方程式を無次元化するとδおよびεという二つの無次元パラメーターが現れる。これらは、それぞれ水深と波長の比、および振幅と水深の比で定まる無次元量である。長波近似あるいは浅水波近似はδ→0という極限に対応している。より詳しくはε=δ^2→0がKdV近似に、ε=δ^4→0がKawahara近似に、そしてε=1かつδ→0が浅水波近似に対応する。研究代表者のこれまでの研究により、KdV近似およびKawahara近似の数学的に厳密な正当性が与えられ、水面波の方程式の解の比較的長時間における振る舞いが上記の近似方程式の解で近似出来ることが証明されていた。しかしながら、そこで用いた手法を浅水波近似の正当性に適用することは本質的に出来なかった。 これまでの研究では、Laplace方程式に対するDirichlet-to-Neumann写像(DN写像)の性質は特異積分作用素や擬微分作用素の理論を用いて調べられて来た。本研究ではその方針を刷新し、適当な微分同型写像を用いて複雑な領域上の問題を簡単な領域上の問題に変換し、Greenの公式を用いるだけで必要なDN写像の性質を導き出した。そして先行結果における計算よりもはるかに初等的で簡単な計算により、解のδに関して一様な評価が得られた。その結果として、これまで未解決であったSobolev空間における水の波の浅水波近似の数学的に厳密な正当性を与えることに成功した。
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