2008 Fiscal Year Annual Research Report
正則写像半群、バンドル上の複素力学系、およびランダムな複素力学系の研究
Project/Area Number |
18540216
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
角 大輝 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40313324)
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Keywords | 解析学 / 複素力学系 / カオス / フラクタル / ランダムな力学系 / 特異関数 |
Research Abstract |
リーマン球面上の有理写像からなる半群を有理半群とよび、そのリーマン球面上での力学系を考察した。また、有理半群の力学系とランダムな複素力学系の両者の理論を交錯させながら、同時に発展させた。特に、有理半群Gについて「核ジュリア集合」というものを定義し、それが空になる場合に、付随するランダムな力学系については確率測度め空間の上で推移作用素の随伴による力学系がカオス的な部分(ジュリア集合という)を持たないこと(協調原理)を発見し詳しく調べた。この場合、連続関数の空間上で推移作用素を考えると、絶対値が1の固有値に対応する固有関数で張られる空間Aの次元が有限であることを示した。また、推移作用素の軌道が0に収束するような初期関数で張られる空間をBとすると、連続関数の空間はAとBの直和になることを示した。さらに、このAの各元は、半群Gのファトウ集合(穏やかな初期値集合)の各連結成分上では定数であることも示した。上記の仮定のもと、さらにある条件を課すとGのジュリア集合のハウスドルフ次元が真に2より小さくなるので、この場合は、Aの各元は、リーマン球面全体で連続なのに、非常に細いフラクタル集合のなかだけで変化することとなる。さらにもう一つある条件を課したとき、Aの各元は半群Gのジュリア集合の(ある確率測度に関して)ほとんど全ての点で微分が出来ないことを示した。Aの各元は、実関数論で研究されている「特異関数」の複素平面上版とみなせる。このように有理半群、フラクタル、ランダムな複素力学系(ある種のマルコフ過程)、特異関数などのいくつかの分野に同時に大変なインパクトを与える、重要な結果を発見し、考察した。
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Research Products
(3 results)